台所の台に、茶筒が二つ並んでいます。片方には茶色の葉、もう片方には緑の葉と米粒が入っています。どちらのふたを開けても、香ばしい匂いが立ちのぼります。匂いは近いのに、生まれた場所がちがうのです。
湯をわかしながら、どちらの筒を開けるか考えます。
焙じた葉と、加えた米
それぞれをひとさじずつ、手のひらにのせてみます。ほうじ茶は焙じた緑茶で、玄米茶は炒った米を加えた緑茶なのです。
表示の決まりでは、ほうじ茶は煎茶や番茶などを強い火で焙ったものです。玄米茶は、煎茶や番茶などに炒った米を加えたものとされています。大手の茶の会社は、米を水に浸して蒸し、炒ってから、ほぼ同じ量の茶と合わせると説明しています。
定義の上で焙じるのは、加える米のほうです。煎茶もふくめた三つの並びは、煎茶・ほうじ茶・玄米茶の違い|一つの緑茶を焙じるか、合わせるかで整理してあります。つぎは、味でしょう。
二つの香ばしさ
二つの湯のみから、湯気が並んでのぼります。どちらも香ばしいのですが、そのもとがちがうのです。
公的な解説は、ほうじ茶を、香ばしく、渋みや苦みがほとんどないお茶としています。玄米茶は、米のおこげのような香ばしさと甘みを持つ、日本版のフレーバーティーとされています。茶の会社は、中の番茶や煎茶がさっぱりした味を保つとも書いています。
資料で言えるのは、それぞれの説明までです。穀物の焙じ方は、麦茶・そば茶・玄米茶の違い|何を焙じ、どこで合わせるかに続きがあります。つぎは、カフェインでしょう。
葉が少ないぶん、カフェインも
同じさじで量っても、玄米茶のひとさじの一部は米です。同じ淹れ方で、国の成分表は玄米茶のカフェインを、ほうじ茶より少なく載せているのです。
成分表は、どちらにも同じ条件を使っています。茶葉の量も、湯の温度も、三十秒という時間も同じです。茶の会社は、米が入るぶん茶葉が少なくなるからだと説明しています。表の値は十ミリグラム刻みの粗いもので、ちょうど半分とまでは言えません。
値の読み方は、ほうじ茶のカフェイン量は?煎茶・番茶・紅茶と条件をそろえて比較で扱っています。最後は、湯の熱さでしょう。
どちらも、沸きたての湯で
やかんのスイッチが切れても、湯はまだ踊っています。どちらのお茶も、熱湯で短く淹れるのです。
国の淹れ方の資料は、番茶と玄米茶とほうじ茶をひとまとめにしています。香りを楽しむお茶なので、香りが立つよう熱湯を使うという説明です。標準は三十秒ほどで、二煎目はすぐに注ぎます。
たくさんの案内の待ち時間は、ほうじ茶の「90℃・30秒」はどこから?で比べています。数字と出典は、このあとにまとめて置いておきます。
数字でくわしく
- 定義
- 日本茶業中央会「緑茶の表示基準」実施細則の表1は、ほうじ茶を「煎茶や番茶などを強い火で焙って製造したもの」、玄米茶を煎茶や番茶などに炒った米を加えたもの、としています。
- 玄米茶の作り方
- 伊藤園「お茶百科」は、米を水に浸して蒸し、炒ってから、番茶や煎茶などとほぼ同量の割合で合わせると説明しています。米が入るぶん茶葉が少なく、カフェインが少ないとも書いています。販売元の説明です。
- 味
- ほうじ茶の説明は農林水産省(aff 2022年4月号)によります。玄米茶の、米のおこげのような香ばしさと甘み、日本版のフレーバーティーという説明は、農林水産省「日本茶を楽しむ方法」によります。
- カフェイン
- 日本食品標準成分表(八訂)増補2023年で、浸出液100mLあたり、ほうじ茶0.02g、玄米茶0.01gです。条件はどちらも、茶葉15g・90℃の湯650mL・0.5分です。測った玄米茶の配合比は載っていません。
- 淹れ方
- 農林水産省のサイトにあるPDF「おいしいお茶の入れ方」は、番茶(玄米茶・焙じ茶)を1人分100mLに茶葉2〜3g、熱湯、30秒としています。二煎目は少し高い湯温で、すぐに注ぎます。
