茶舗の棚に、袋が三つ並んでいます。名称の欄は、煎茶、ほうじ茶、玄米茶。それなのに裏の原材料は、どれも「緑茶」の一語か、そこに「玄米」が足されているだけです。
同じ一語から、どうしてこれだけ違うものができるのか
動かせるところは、焙じ方と合わせ方の二つです。そのどちらも、袋の上に痕跡が残ります。業界の表示基準が、言葉を決めているからです。
合わせ方 ― 茎茶、玄米茶、混合茶を決めている言葉
合わせ方から見ます。日本茶業中央会の「緑茶の表示基準」は、茎茶や棒茶を、選別された茶の茎や葉柄を多く含む茶と定め、玄米茶を「煎茶や番茶などに炒った米を加えたもの」、混合茶を「異なった茶種を混合したもの」としています。
焙じ方 ― 火入れ70〜130℃と、焙じ140℃以上
ほうじ茶と煎茶を分けているのは原料ではなく、緑茶を作ったあとに足される加熱です。同じ表示基準の別紙「製造・加工・販売の分類」には、「火入れ70〜130℃」の行と「焙じ140℃以上」の行が別々に置かれています。装置も測る場所も書かれておらず、分けているのも茶種ではなく、袋に「製造者」と書けるか「加工者」と書くかです。何を分ける線かは第5章で見ます。
その温度の先は、測った場所で向きが変わります。高知県農業技術センター茶業試験場の報告では、渋みのもとであるカテキンは焙煎が深いほど減り、一番茶の深炒は荒茶のおよそ5分の1でした(カテキンと香気を測った2013年のデータ)。一方、焙煎香の指標として測られたピラジン2種は、一番茶と刈番茶で浅炒がいちばん多く出ています。石川県工業試験場などが茎を内面180〜220℃で焙じた試験では、8種のピラジンが高温ほど増えました。条件が違うので、二つは別の話です。
合組は、袋の上に出てこない
合組(ごうぐみ)だけは、袋の上に出てきません。複数の荒茶を合わせて一つの袋の味を作る、茶商の工程です。合わせても数字は動きます。農林水産省のカフェインの一覧では、同じ浸出条件で、ほうじ茶が浸出液100mLあたり20mg、炒った米が入る玄米茶は10mgです(どちらも茶葉15g・90℃・650mL・0.5分。配合比は載っていません)。焙じ方の条件表と合組の2条件は、これから測ります。
