秤に茶葉を2.3g載せます。成分表がほうじ茶の浸出液を測ったときの、湯100mLあたりの茶葉の量です〔計算値・2.31gを丸めました〕。となりの小皿に玉露の16.7gを量ると、小皿が埋まります。湯を100mLにそろえて並べると、同じ「茶葉」という言葉の下で、片方はひとつまみ、片方はひと握りです。

条件の違う数字を、比べられる形に並べ直せるか

2通りあります。同じ条件で測られたものだけを取り出す方法と、茶葉1gあたりに直す方法です。どちらで並べても、ほうじ茶は表の上のほうに残ります。

同じ条件で測られた組は、2つ

八訂の増補2023年で、まったく同じ条件で測られた組は2つあります。1つは、「公表値がばらつくのは、測り方が違うから」の節で見た条件(茶葉15g・90℃の湯650mL・0.5分)で並ぶ番茶・ほうじ茶・玄米茶・ウーロン茶の4つ。もう1つは、せん茶の条件(茶葉10g・90℃の湯430mL・1分)で並ぶせん茶とかまいり茶です。公表値をそのまま比べられるのは、それぞれの組の中でだけです。

4つの組では、番茶10mg・玄米茶10mgに対して、ほうじ茶20mg・ウーロン茶20mg。もう1つの組では、せん茶20mgに対して、かまいり茶10mgです。表の上では、ほうじ茶は多い側に置かれています(下の図)。

図 1-2-1同じ浸出条件で測られた組ごとのカフェイン量

番茶(組1)10mg(浸出液100mLあたり)
ほうじ茶(組1)20
玄米茶(組1)10
ウーロン茶(組1)20
せん茶(組2)20
かまいり茶(組2)10
日本食品標準成分表(八訂)増補2023年より作図。同じ浸出条件で測られた組はこの2つで、組1=茶葉15g・90℃の湯650mL・0.5分(番茶・ほうじ茶・玄米茶・ウーロン茶)、組2=茶葉10g・90℃の湯430mL・1分(せん茶・かまいり茶)。単位は浸出液100mLあたりのmg。表の値は小数第2位まで(0.01g/0.02g=10mg/20mg)で、丸めの幅は0.005〜0.015と0.015〜0.025。棒の長さの比を「2倍」と読むことはできず、組をまたいだ長さの比較もできません。

成分表の桁数では、区別がつかない

ここで気をつけたいのは、桁数です。この欄の値は小数第2位までで、10mgと20mgの差を「2倍」と読むには粗すぎます。同じ理由で、ほうじ茶とせん茶が同じだとも言えません。書ける形は、成分表の桁数では区別がつかない、までです。

茶葉1gあたりに直す

玉露の160mgは、ほうじ茶の20mgの8倍です。ところが湯100mLあたりに入っている茶葉は、7.2倍です〔計算値〕。茶葉1gあたりに直して並べ直すと、8倍の差は約1.1倍まで縮みます(下の表)。玉露が濃いのは、濃く淹れているからです。

表 1-2-2茶種別の浸出条件・公表値・茶葉1gあたりに直した値

茶種浸出条件(茶葉g・湯の温度・湯のmL・時間)湯100mLあたりの茶葉量〔計算値〕浸出液100mL中のカフェイン(公表値・mg)茶葉1gあたり〔計算値〕
玉露茶葉10g・60℃・60mL・2.5分16.7g1609.6mg
せん茶茶葉10g・90℃・430mL・1分2.33g208.6mg
かまいり茶茶葉10g・90℃・430mL・1分2.33g104.3mg
番茶茶葉15g・90℃・650mL・0.5分2.31g104.3mg
ほうじ茶茶葉15g・90℃・650mL・0.5分2.31g208.7mg
玄米茶茶葉15g・90℃・650mL・0.5分2.31g104.3mg
ウーロン茶茶葉15g・90℃・650mL・0.5分2.31g208.7mg
紅茶茶葉5g・熱湯360mL・1.5〜4分1.39g3021.6mg
浸出条件と公表値は日本食品標準成分表(八訂)増補2023年。単位は浸出液100mLあたりのmg。茶葉量と茶葉1gあたりの2列は、その条件から計算した値で、成分表には書かれていません〔計算値〕。番茶・ほうじ茶・玄米茶・ウーロン茶が1つの組、せん茶・かまいり茶がもう1つの組で、同じ条件で測られているのはその組の中だけです。紅茶の「1.5〜4分」は幅ではなく、6種の試料を1行にまとめた表記。

茶葉そのものの値は、いちばん低い

茶葉そのものの値も、増補2023年には載っています。ほうじ茶の茶葉は100gあたり1.5g。玉露3.5、抹茶3.2、紅茶2.9、せん茶2.3、番茶1.9と並ぶ中で、いちばん低い値です。茶葉としては低く、淹れた液ではせん茶と並ぶ。この2つは同時に成り立ちます。ただし、茶葉の値を浸出液の値で割って抽出率を出すことはできません。国の表は、この2つが同じ試料を測ったものだとは書いていないからです。