子どもの水筒に何を入れるか、朝のうちに決めます。夏のあいだは麦茶で決まっていたのが、涼しくなると迷いが出ます。家にあるのはほうじ茶で、袋を裏返すと、書いてあるのは原材料名と焙煎の言葉です。判断の材料は、袋の外にあります。

手元にある数字から、どこまでが言えるか

言えるのは、自分の一杯におよそ何mg入っているか、までです。何杯までにするかを、ここでは決めません。公的機関も、カフェインの一日摂取許容量(ADI)を決めていません。かわりに置けるのは、自分の湯のみで計算する手つきと、海外の機関の目安です。

一日摂取許容量が設定されていない理由

内閣府食品安全委員会は、カフェインに対する感受性は個人差が大きいため、健康に及ぼす影響を正確に評価することは難しく、一日摂取許容量は設定されていない、と書いています。厚生労働省も、個人差が大きいことなどから、日本でも国際的にも設定されていない、と書いています。設定が無いのは、調べられていないからではなく、一つの数字に置けないからです。

紹介されているのは、海外の機関の目安

そのうえで、省庁のページは海外の機関の目安を紹介しています。欧州食品安全機関(2015年)、カナダ保健省(2010年)、世界保健機関(2016年)。機関ごと、対象の集団ごとに、別々の値が置かれています(下の表)。いずれも日本が定めた基準ではなく、紹介されている海外機関の値です。

前提が2つあります。1つ目。紹介されている目安は、どれも1日に食品全体から摂る総量についての値で、1杯についての値ではありません。コーヒーも紅茶も清涼飲料も、カフェインを含む薬も、同じ1日の中に入ります。2つ目。成人の値は1日あたりの量、子どもの値は体重1kgあたりで置かれています。単位が違うので、片方をもう片方の目安には使えません。消費者庁は、カナダ保健省の値を紹介したうえで、「この量を超えたとしても、必ずしも健康に悪影響がおよぶものではありません」と書き添えています。

表 1-3-1紹介されている海外機関のカフェインの目安(1日に食品全体から摂る総量で、1杯の値ではない)

機関年対象の集団値単位
欧州食品安全機関2015年健康な成人400mg1日あたりmg
欧州食品安全機関2015年健康な成人(1回あたり)200mg1回あたりmg
欧州食品安全機関2015年妊婦・授乳婦200mg1日あたりmg
欧州食品安全機関2015年子どもと青少年3mg体重1kgあたり・1日あたりmg
カナダ保健省2010年18歳以上400mg1日あたりmg
カナダ保健省2010年4〜6歳45mg1日あたりmg
カナダ保健省2010年7〜9歳62.5mg1日あたりmg
カナダ保健省2010年10〜12歳85mg1日あたりmg
カナダ保健省2010年13歳以上2.5mg体重1kgあたり・1日あたりmg
世界保健機関2016年妊婦1日300mg以上の高摂取に注意喚起1日あたりmg
ここに並ぶのは1日に食品全体から摂る総量の目安で、1杯の値ではありません。いずれも日本が定めた基準ではなく、農林水産省・厚生労働省・消費者庁・内閣府食品安全委員会のページが紹介している海外機関の値です。成人の値は1日あたりの量、子どもの値は体重1kgあたりで、単位が違うため片方をもう片方の目安には使えません。

夜について紹介されている1件

夜については、1件だけ紹介されています。就寝の直前に1回100mg(体重70kgの成人で約1.4mg/kg体重)を摂ると、一部の成人で睡眠障害が起こる可能性がある、というオーストリア保健・食品安全局2017年の評価です(食品安全委員会のファクトシートより)。

数字の側から、自分の一杯に降りる

数字の側から自分の一杯に降りるには、濃度に量を掛けます。公表値の条件で淹れたお茶が100mLに20mgなら、150mLの湯のみ1杯で30mgです〔計算値〕。

では、薄く淹れれば減るのか。濃さや湯の温度を変えたときの動きを、ほうじ茶について測った公開データは、今回見つけられませんでした。淹れ方で加減できるという説明は、この章の材料からは書けません。