朝、やかんに水を張り、火にかけます。棚からほうじ茶の袋を出すと、焙じた葉の匂いがかすかに漂います。急須で淹れるか、ティーバッグにするか、冷たく作るか。道具が変わると、変えどころも変わるのです。

この文章では、急須、やかん、ティーバッグ、水出し、二煎目の順に、基本の形をたどっていきます。

急須と、沸きたての湯

やかんの口から、白い湯気が勢いよく噴き出します。急須で淹れるほうじ茶は、沸きたての熱湯で短く淹れるのが基本なのです。

国の案内は、ほうじ茶を、味より焙じた香りを楽しむお茶として、熱湯を使うよう勧めています。茶葉はひとり分で二、三グラムほどで、湯を注いだら三十秒ほどで湯のみに注ぎきります。京都の茶舗も、しゅんしゅんと沸いた湯を使うよう書いています。

急須に湯を残すと、二煎目までに出すぎてしまいます。この数字の生まれは、ほうじ茶の「90℃・30秒」はどこから?でたどれます。

やかんの湯の使いみち

やかんのふたが、湯気でかたかたと鳴っています。国の案内は急須で淹れる方法で、やかんで煮出す作り方は載っていないのです。

国の案内に載っているのは、沸かした湯を急須に注ぐ淹れ方です。調理の研究では、浸す時間をのばすほど、カフェインや渋みのもとが多く溶け出しました。

まとめて作るなら、急須で淹れたときの湯と葉の比が手がかりでしょう。ただし、煮出す時間の目安にはなりません。つぎは、袋ごと湯に沈めるティーバッグです。

袋の中で、葉がひらく

湯のみにティーバッグを沈めると、袋のまわりから茶色が細くにじみ出します。ティーバッグは、茶葉より少し長めに置くのが、公開されている案内の形なのです。

加賀の棒茶の店は、同じ銘柄で、急須で淹れる茶葉とティーバッグに別の時間を書いています。ティーバッグのほうが、茶葉の倍近く長い設定です。

時間は商品ごとに決められているので、まず袋の裏の案内に合わせるのが確かです。二煎目までの淹れ分けは、目的別のほうじ茶の淹れ方|濃さ・時間・二煎目の決め方にあります。

冷蔵庫で待つ、水出し

ピッチャーに水を張り、茶葉を落として冷蔵庫の扉を閉めます。水出しは、冷たい水に1〜3時間置いて作るのです。

棒茶の店は冷たい水に3時間、水出し用のパックを売る茶舗は冷蔵庫に1〜2時間置く案内です。冷たい水でも、カフェインは時間をかけて溶け出します。

国の研究機関は水出し緑茶について、冷蔵庫にしまい、一日以内に飲みきるよう案内しています。資料で言えるのは、作り方としまい方までです。低い温度で出る成分は、水出しほうじ茶のカフェインは?で読めます。

二煎目と、湯のみを置くまで

急須の中で、ひらいた葉がしっとりと沈んでいます。二煎目は、少し熱めの湯を注いで、待たずに淹れるのです。

国の案内は、一煎目でひらいた葉から残りが出やすいように、湯をやや熱くし、すぐに注ぐよう書いています。公開されている案内を並べると、茶葉の量も待つ時間も、店ごとに大きくちがいます。

最初は標準の形で淹れ、葉の量か時間を少しずつ動かすと、ちがいを確かめやすいでしょう。資料で言えるのは、標準と、その幅までです。牛乳と合わせる飲み方は、ほうじ茶ラテの作り方|牛乳の比率と温め方から決めるで扱っています。数字と出典は、このあとにまとめて置いておきます。

数字でくわしく

急須の標準
農林水産省のサイトにあるPDF「おいしいお茶の入れ方」は、番茶(玄米茶・焙じ茶)を1人分100mLに茶葉2〜3g、熱湯、30秒としています。1人分だけ淹れるときは4〜5gにすると、2煎目もおいしく淹れられるとしています。
熱湯の理由
同じPDFは、番茶(玄米茶・焙じ茶)を、味わうよりも香ばしい火香や焙じ香を楽しむお茶とし、香りが引き立つよう熱湯を用いるとしています。
茶舗の例
一保堂茶舗は、茶葉10gに100℃の湯240mLで30秒とし、「シュンシュンに沸いた熱湯」を使うよう書いています。
案内の幅
茶商・メーカー18社と公的機関・団体11件、あわせて29件の案内を集め、数字のある27件を比べました。幅は26件から出していて、待ち時間は25秒から約4分、100mLあたりの茶葉は1.0gから4.2gでした(2026年9月22日確認)。
時間と溶け出す量
米田泰子・加藤佐千子(1994)の報告です。ほうじ茶をふくむ6種の茶で浸出時間を0.5分から4分まで振りました。茶全般で、のばすほど溶出量が増え、3〜4分で横ばいになりました。
ティーバッグ
丸八製茶場の献上加賀棒茶は、茶葉が6g・熱湯260mL・25秒、ティーバッグが2個・熱湯260mL・45秒です(2026年9月17日確認)。
水出し
献上加賀棒茶は、茶葉6gに冷水600mLで3時間です。妙香園の水出し用パックは、1パック12gに水約1Lで、冷蔵庫に約1〜2時間です(2026年9月19日確認)。
保存
農研機構『Fruit & Tea Times』No.2(2017年)は、水出し緑茶の淹れ方の項で、作ったお茶は冷蔵庫で保存し、一日以内に飲むよう案内しています。
二煎目
農林水産省のPDFは、二煎目を一煎目よりやや高い湯温で、すぐに淹れるとしています。