牛乳のパックの横には、種類別という欄があります。毎日目にしているのに、買うときに読むことはあまりありません。台所には急須と小鍋と泡立て器があり、書き出したレシピは大さじとccが混ざっています。決めることが多いので、手はたいてい思いついた順に動くのです。
その日の一杯は、悪くありません。困るのは、次にもう一度作るときです。この文章では、何から決めれば同じ一杯に戻れるのかを、割合、濃さ、牛乳の表示、温め方の順に見ていきます。
割合を、先に決める
計量カップに牛乳を注ぐと、白い目盛りの線がゆれます。最初に決めるのは、茶葉でも焙じる深さでもなく、牛乳の割合なのです。
一杯の中で牛乳が占める割合を先に決め、その割合に合う茶の濃さをあとから作ります。この順番にすると、変えたところを一つずつ追えるのです。
どの割合がおいしいかまでは、レシピの数字からは決まりません。割合のつぎは、濃さとの関係でしょう。
濃さと割合は、別のつまみ
急須の茶を長く置くと、湯の色はしだいに深くなります。茶の濃さと牛乳の割合は、別々のつまみなのです。
店と家の一杯を比べた文章で見たとおり、レシピの牛乳は、わずかなものからほぼ牛乳だけのものまで散らばっています。店の一杯に近づけたいなら牛乳の多い側、ミルク入りのほうじ茶なら少ない側です。目当てが決まらないと、材料も決まらないのです。
濃く出せば店に近づく、ともかぎりません。棒茶の店のラテは、同じ店がふだんの淹れ方として案内する濃さの倍あまりですが、牛乳は少なめに抑えています。濃さのつぎは、牛乳そのものでしょう。
種類別「牛乳」と書けるもの
冷蔵庫のパックを回すと、側面に細かな字が並んでいます。種類別に「牛乳」とあれば、生乳だけで、成分を調整していないものなのです。
乳の業界団体の解説では、「牛乳」と書けるのは、乳脂肪分と無脂乳固形分が決まった量を超える、生乳だけのものです。低脂肪牛乳、無脂肪牛乳、乳飲料は、それぞれ別に決められた飲み物です。店の感じに近づけたい日の出発点は、種類別に「牛乳」とあるものでしょう。
コンビニのほうじ茶ラテにも、生乳だけの牛乳で仕上げると案内しているものがあります。資料で言えるのは、表示の決まりと、その案内までです。パックのつぎは、小鍋の温め方でしょう。
膜の張る、少し手前
小鍋の牛乳を温めていると、表面にうすい膜が張りはじめます。温め方は、この膜を境に考えられるのです。
湯葉がゆっくり厚くなるように、牛乳の膜も温める時間と温度に沿って厚くなります。乳業の団体の説明では、膜は四十度を超えると張りはじめ、最初の膜の大半は脂肪です。家庭向けのレシピが泡立て器で混ぜながら沸騰の手前まで温めるのは、熱を一か所に集めないためでもあるのです。
泡立て器がなければフォーク、ミルクパンがなければ小鍋で足ります。専用の道具が要るのは、店の速さを再現したいときだけです。温めた牛乳が甘く感じるのは、糖が増えたからではありません。果糖のほかの甘さは、体温に近い温度で強く感じると説明されています。
資料で言えるのは、温度と膜と甘さの関係までです。最後は、植物性のミルクの話でしょう。
バリスタ向けの、オーツミルク
棚の端には、オーツミルクの紙パックも並んでいます。「バリスタ仕様」と書かれたものは、泡の立てやすさを試験で確かめたと案内されているのです。
その案内が挙げる基準は、泡の作りやすさ、きめの細かさ、泡の安定です。お茶と合わせたときのことは、説明には書かれていません。
茶との相性は、合組を扱う文章であらためて扱います。数字と表示の決まりは、このあとにまとめて置いておきます。小鍋の牛乳は、ふちに小さな泡を残して静かになります。
数字でくわしく
- 牛乳の割合
- 公開レシピの牛乳の割合は、2割から8割超までです。
- 棒茶ラテ
- 棒茶の店のラテは、丸八製茶場の棒茶ラテです。100mLあたり茶葉5.6gで、牛乳は2割に抑えています。
- 袋のいれ方
- 同社が献上加賀棒茶の袋に案内するいれ方は、6gに熱湯260mL・25秒(100mLあたり2.3g)です。ラテはこのおよそ2.4倍の濃さで、換算と倍率は表示からの計算値です。
- 種類別「牛乳」
- Jミルクの解説では、種類別「牛乳」は生乳100%の成分無調整のものです。乳脂肪分3.0%以上・無脂乳固形分8.0%以上と決まっています。
- ほかの種類
- 低脂肪牛乳は乳脂肪分0.5〜1.5%、無脂肪牛乳は0.5%未満、乳飲料は乳固形分3.0%以上です。
- 生乳100%
- 生乳100%の牛乳で仕上げると案内しているのは、ローソンのマチカフェのほうじ茶ラテです。
- 膜の温度
- 日本乳業協会の説明では、牛乳は40℃以上で膜ができ、最初の膜は脂肪が70%以上、たんぱく質が20〜25%です。膜は加熱の時間と温度に比例して厚くなります。
- 温め方と甘さ
- 泡立て器でかき混ぜながら沸騰直前まで温める手順は、伊藤園のレシピです。甘さと温度の説明も、日本乳業協会によります。

