袋にある「25秒」と「30秒」は、5秒だけ違う淹れ方なのでしょうか。茶の量と湯の量まで並べると、別の違いが見えてきます。待ち時間は、レシピの最後の一項目にすぎません。
丸八製茶場と一保堂茶舗の公式の淹れ方を、一杯を用意する順番に読み直します。
25秒の前にある、6gと260mL
丸八製茶場の献上加賀棒茶の茶葉タイプは、茶6gに熱湯260mLを注ぎ、25秒で淹れる案内です。ティーバッグには別の手順があるため、同じ商品名でも形状まで合わせます。
25秒という数字だけを覚えて、茶の量を大きく変えたり、別の量のお湯を使ったりすれば、元の手順とは別の条件になります。再現したいのは待ち時間だけでなく、茶と湯を用意するところからの一組です。
30秒の前には、10gと240mLがある
一保堂茶舗の極上ほうじ茶は、茶10gに100℃の湯240mLを注ぎ、30秒で淹れます。計り始めるのはお湯を注ぎ始めたときです。
献上加賀棒茶の例と比べると、こちらは茶を多く、お湯を少なく使っています。時間差だけを切り取って比べると、この二つの違いが消えてしまいます。茶の種類も違うため、できた味の差を5秒の効果だけで説明することはできません。
湯100mL当たりの茶量に換算すると、前者は約2.3g、後者は約4.2gです。元の分量から計算した比較用の値で、この量で淹れる新しいレシピではありません。わずか5秒の差よりも、茶と湯の割合には大きな差があることが見えてきます。
一般的な目安と、商品ごとの手順の役割
農林水産省は、ほうじ茶などの一般的な目安として90〜100℃、30秒〜1分を紹介しています。こうした幅のある案内と、特定商品の手順は、役割が違います。
一般的な目安は淹れ方を知る入口になります。一方、今まさに手元の商品を淹れるなら、その商品の形状と分量に合う手順が具体的な出発点になります。数字が少し違うだけで、どちらかが間違いだと考える必要はありません。
研究でも、茶の量と時間は別々に調べる
深蒸し煎茶を扱った研究では、茶葉量や浸出時間、煎じる回数が変わると、成分量や味覚センサーの値も変わりました。これは特定の煎茶を調べた結果で、ほうじ茶の最適な秒数を示すものではありません。
ただ、量と時間を別の条件として扱う見方は、レシピを比べるときにも役立ちます。味の強さを測ることと、その味を自分が好きかどうかも、分けて考えられます。


