棚のいちばん手前に、飲みかけのほうじ茶の袋があります。口を止めたクリップの下に、前に書いたメモが1枚。ティースプーン2杯、湯はカップの8分目、30秒。その3つを守れば、先週と同じ一杯が出てきます。

まず決めるのは、濃さ

濃さを先に決めて、固定します。茶葉の量と湯の量の組み合わせを自分の数字にしてしまい、そのあとで温度と時間を1つずつ動かす。順番を逆にすると、動かした先が分からなくなります。

濃さから決める理由

濃さから決める理由は、『「90℃・30秒」は、誰がどうやって決めたのか』の節に並べた表の幅です。案内ごとの差は、待ち時間よりも濃さのほうに大きく出ています。この中のどこを基準にするかは、自分で決めるほかありません。濃さの幅が味にどう効くかは、まだ測られていません。

温度は、器の数と待ち時間で作れる

温度は、器の数と待ち時間で作れます。先に引いた農林水産省のPDFは、一回移すと5〜10℃の湯冷ましができる、熱湯をポットに移すと90℃くらい、さらに茶碗に移すと80℃くらいになる、と書いています。80℃台を勧める案内は、この梯子に時間を足したものです。美濃加茂茶舗は、別の器に注いでから1分ほど置くと書いています。

二煎目で、案内どうしが逆を向く

二煎目からは、案内どうしが逆を向きます。短くする側は、静岡県茶業会議所が一煎目の約3分の1、中村藤吉本店が待たずに注ぐ、福寿園が茶種を限らない一般則として3分の2。上げる側は、美濃加茂茶舗が一煎目の約80℃に対して二煎目は90℃くらい、と書いています。

理由を添えているのは、短くする側だけです。静岡県茶業会議所は「二煎目の場合はお茶の葉が開いているので」と書いています。三煎目のほうは、二煎目を書いている5件のどれにも条件がありません。

測られているのは、短く淹れて繰り返すほう

測られているほうを見ると、判断は1つに絞れます。1994年の報告は、短く淹れて煎を繰り返すほうが1回長く浸すより溶出の総量は多い、としています(茶葉各3g。ほうじ茶と番茶は沸騰湯100mL、浸出0.5〜4分、同じ茶葉で3煎)。待ち時間を倍にするより、もう一度淹れるほうが上回ります。

同じ茶葉でも、ティーバッグのほうが長く、熱く淹れることになっています。丸八製茶場の献上加賀棒茶はリーフが25秒でティーバッグが45秒、美濃加茂茶舗はリーフが約80℃でティーバッグが90℃です。差をつける理由を書いた事業者も、差を測った資料も見あたりません。言われているけれど、測られていない。まず測るのは、焙煎の側です(第4章)。書き留め方は第12章で扱います。