冷蔵庫の麦茶、そば屋のそば茶、急須の玄米茶。どれも香ばしい「お茶」ですが、何を焙じているかは同じではありません。大麦、そばの実、米、茶葉を作り方に沿って並べると、焙煎はほうじ茶だけの話ではないことがわかります。
麦茶では、大麦を焙じてから粒を整える
麦茶などを製造する丸菱は、原料を小粒大麦、大粒大麦、はだか麦と説明しています。精選した麦を焙煎機に入れ、中心部まで煎り上げる工程があり、ティーバッグ用では、焙煎後の麦を適度な粒に粉砕してから袋詰めします。
ここでは「焙じる」と「細かくする」が別の工程です。袋の中の粒だけを見ていると見えにくいですが、もとの麦をどう焙じ、そのあとどんな形に整えて飲み物にするか、という順序があります。
茶葉だけでなく、麦にも砂を使う焙煎がある
小川産業は、国産の六条大麦を使い、1号釜に麦と珪砂を入れて250度で1分、続く2号釜で150度で1分煎る工程を公開しています。砂と一緒に熱を通す方法は、茶葉の砂炒りを知っているとつながりが見える話です。
丸菱の説明には、通常200〜280°Cで2〜3回程度煎るという別の工程もあります。これらは各社の機械と工程の数字です。高い方が深い焙煎だと並べたり、家庭のフライパンの設定にしたりするための共通表ではありません。
そば茶で焙じるのは、茶葉ではなくそばの実
日穀製粉は、そば茶をそばの実を焙煎した穀物茶と説明しています。琥珀色の水色、まろやかな味、香ばしい香りというのが同社の紹介です。麦茶と同じく、茶の樹の葉を原料とするお茶ではありません。
名前に「茶」と付いていても、原料が茶葉とは限らないわけです。麦茶は麦、そば茶はそばと、原材料から確認すると、似た香ばしさだけで飲み物をひとまとめにせず、それぞれの作り方へ進めます。
玄米茶は、焙煎する工程と合わせる工程がある
伊藤園の説明では、玄米茶は米を水に浸して蒸し、それを炒ってから、番茶や煎茶などをほぼ同量の割合で加えます。ここでは、炒った米だけを使うのではなく、米と茶葉を合わせます。
ほうじ茶では、茶葉そのものを炒って香ばしさを引き出します。玄米茶では炒った米を茶葉に合わせるため、香ばしさのある材料と茶葉が一つの袋に入っています。同じ香ばしいお茶でも、焙じたものを探す場所が違います。
色ではなく、原料と工程を並べてみる
麦茶は大麦を焙じる、そば茶はそばの実を焙じる、玄米茶は炒った米と茶葉を合わせる、ほうじ茶は茶葉を焙じる。このように動詞まで付けると、名前だけよりも違いを説明しやすくなります。
飲み比べるときも、先に原材料と作り方を確かめ、そのうえで香りを言葉にしてみてください。似て感じる部分があっても原料は違い、原料が違っても焙煎という工程でつながる。その両方が見えると、普段の飲み物の棚が、身近な加工技術の見本になります。


