お茶は、焙煎でもっとおもしろい。

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合わせると、お茶はどこまで広がるか

第11章・公開 3節/全4節

煎った大麦、そばの実、炒り米を混ぜた玄米茶を三つの白い小皿に盛り、素焼きの焙烙と木のさじを添えたイラスト。

玄米、麦、茎と葉、ミルクとスパイス。合わせることで、お茶がどこまで広がるかを見ます。

01

玄米茶と麦茶 ― 台所にいちばん近い合組

麦茶とそば茶は穀物を焙じ、玄米茶は炒った米と茶葉を合わせる。何を炒り、どこで混ぜるかをたどると、いつもの飲み物に違う作り方が見えてきます。

煎った大麦、そばの実、炒り米を混ぜた玄米茶を三つの白い小皿に盛り、素焼きの焙烙と木のさじを添えたイラスト。

冷蔵庫の麦茶、そば屋のそば茶、急須の玄米茶。どれも香ばしい「お茶」ですが、何を焙じているかは同じではありません。大麦、そばの実、米、茶葉を作り方に沿って並べると、焙煎はほうじ茶だけの話ではないことがわかります。

麦茶では、大麦を焙じてから粒を整える

麦茶などを製造する丸菱は、原料を小粒大麦、大粒大麦、はだか麦と説明しています。精選した麦を焙煎機に入れ、中心部まで煎り上げる工程があり、ティーバッグ用では、焙煎後の麦を適度な粒に粉砕してから袋詰めします。

ここでは「焙じる」と「細かくする」が別の工程です。袋の中の粒だけを見ていると見えにくいですが、もとの麦をどう焙じ、そのあとどんな形に整えて飲み物にするか、という順序があります。

茶葉だけでなく、麦にも砂を使う焙煎がある

小川産業は、国産の六条大麦を使い、1号釜に麦と珪砂を入れて250度で1分、続く2号釜で150度で1分煎る工程を公開しています。砂と一緒に熱を通す方法は、茶葉の砂炒りを知っているとつながりが見える話です。

丸菱の説明には、通常200〜280°Cで2〜3回程度煎るという別の工程もあります。これらは各社の機械と工程の数字です。高い方が深い焙煎だと並べたり、家庭のフライパンの設定にしたりするための共通表ではありません。

そば茶で焙じるのは、茶葉ではなくそばの実

日穀製粉は、そば茶をそばの実を焙煎した穀物茶と説明しています。琥珀色の水色、まろやかな味、香ばしい香りというのが同社の紹介です。麦茶と同じく、茶の樹の葉を原料とするお茶ではありません。

名前に「茶」と付いていても、原料が茶葉とは限らないわけです。麦茶は麦、そば茶はそばと、原材料から確認すると、似た香ばしさだけで飲み物をひとまとめにせず、それぞれの作り方へ進めます。

玄米茶は、焙煎する工程と合わせる工程がある

伊藤園の説明では、玄米茶は米を水に浸して蒸し、それを炒ってから、番茶や煎茶などをほぼ同量の割合で加えます。ここでは、炒った米だけを使うのではなく、米と茶葉を合わせます。

ほうじ茶では、茶葉そのものを炒って香ばしさを引き出します。玄米茶では炒った米を茶葉に合わせるため、香ばしさのある材料と茶葉が一つの袋に入っています。同じ香ばしいお茶でも、焙じたものを探す場所が違います。

色ではなく、原料と工程を並べてみる

麦茶は大麦を焙じる、そば茶はそばの実を焙じる、玄米茶は炒った米と茶葉を合わせる、ほうじ茶は茶葉を焙じる。このように動詞まで付けると、名前だけよりも違いを説明しやすくなります。

飲み比べるときも、先に原材料と作り方を確かめ、そのうえで香りを言葉にしてみてください。似て感じる部分があっても原料は違い、原料が違っても焙煎という工程でつながる。その両方が見えると、普段の飲み物の棚が、身近な加工技術の見本になります。

更新 2026年9月21日この節だけのページ

02

名前で売られているお茶の中身は、何と何か

炒る工程から紹介されるほうじ茶と、大きく育った葉を使う京番茶。似た名前のお茶を、原料と作り方から見ていきます。

小さな皿の細かな焙じ茶葉と、竹の盆に広げた大きな乾燥葉を描いたイラスト。

ほうじ茶と京番茶は、どちらも香ばしいお茶として出会うことがあります。けれど、味や湯の色の説明だけを並べても、どう作られたお茶かは見えてきません。

農林水産省が説明するほうじ茶と、京都茶の蔵が伝える京番茶を、使う葉と工程からたどります。比較の中心は、同じ「番茶」という言葉をどの範囲で使っているかです。

ほうじ茶では、焙じる工程に名前がつく

農林水産省は、ほうじ茶を煎茶や番茶を強火で炒ったお茶と説明しています。もとになるお茶があり、それを炒る工程が名前に表れています。

この説明の中の「番茶」は、ほうじ茶の原料となる茶の一つです。一方、「京番茶」は土地の名を含む一つのお茶の呼び名。同じ文字があるからといって、原料としての番茶と商品としての京番茶をそのまま同一視しないほうが、作り方を読みやすくなります。

京番茶は、葉を採る場面から説明される

京都茶の蔵は、京番茶に使う葉を、新茶を摘み終えた茶園を整えるときに刈り取った葉と説明しています。大きく育った葉を使うところから話が始まります。

原料がただ「茶葉」と書かれていると見えない、いつ、どんな状態の葉を使うのかが分かる説明です。同じ茶の葉でも、集める場面に目を向けると、名前の後ろにある仕事を想像できます。

蒸したあと、揉まずに乾かし、その後に炒る

同社が紹介する昔ながらの京番茶の作り方は、大きな葉を蒸し、揉まずに天日にさらして乾かす方法です。工程の言葉を順に追うと、「揉まない」が一つの特徴として残ります。

丸久小山園の解説では、大きな葉を揉まずに乾燥させ、その後に炒る工程が紹介されています。京都茶の蔵が伝える採葉と揉まない乾燥に、乾燥後の加熱という工程を重ねて読むと、焙じるお茶としての作り方がつながります。

お茶の説明では、何をするかだけでなく、何をしないかも手がかりになります。葉の大きさや形に関心が向いたら、まず原料の説明と、この揉みの有無を読み合わせてみます。特定の商品の形を確認するときは、その商品の作り方を見ます。

香りの言葉と、作り方の言葉をつなぐ

京都茶の蔵が伝える京番茶の香りは、炙ったような独特のスモーキーさです。農林水産省はほうじ茶を、独特の香ばしい香りとあっさりしたのどごしを持つお茶として紹介しています。

どちらも香りの説明ですが、同じ軸で測定した比較ではありません。説明に添えられた原料と工程へ戻ると、「香ばしい」という近い言葉の中にも、異なる作り方があることを読めます。

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ミルクとスパイス ― お茶の外のものと合わせる

無糖の製菓用パウダーと、糖を加えたミックス。似た見た目でも、材料や使い方が異なります。

製菓用パウダーと、砂糖を加えたラテ用ミックスを対比したイラスト

「ほうじ茶パウダー」と書いてあっても、同じ量をお湯や牛乳に入れれば同じ飲み物になるとは限りません。茶を粉末にしたものか、糖を加えたミックスか。そして、どんな使い方を想定した商品かを読む必要があります。

粉末であること、無糖であること、お湯に溶かせること。この三つは、ひとまとめにしないほうが材料を選びやすくなります。

茶を粉末にした商品は、何を細かくしたものか

藤本茶舗の製菓用ほうじ茶パウダーは、焙煎した茶葉を粉末にした無糖の商品です。同社は、お湯に溶かして飲むインスタントとは区別しています。見た目が細かい粉でも、使い方までインスタントと同じという意味ではありません。

メーカーは、ラテにすると粒子が残る場合があるとも案内しています。粉末の細かさだけで判断するのではなく、その商品を飲み物に使ったときの案内まで読むと、買う前の想像と実際の使い方を合わせやすくなります。

無糖という情報だけでは、用途は決まらない

無糖は、甘さを自分で加えたいときに確認したい情報です。しかし無糖と書かれていることから、すぐにお湯で溶かす商品だとは判断できません。材料に糖があるかどうかと、どう使う粉末かは別の問いです。

レシピが無糖の茶粉末を指定しているなら、材料欄だけでなく、製菓用などの用途も合わせて確認します。名前が似ている商品を選び直す場面ほど、この二段階が役に立ちます。

糖を加えたミックスは、その配合を含めて使う

丸久小山園のほうじ茶ミックスは、糖を加えたパウダーです。同社は、冷水やミルクを使ったドリンクのほか、お菓子にも使えると案内しています。甘さを含む材料として使う商品です。

無糖の粉末と同量で入れ替えると、茶の材料だけでなく糖も一緒に替わります。置き換えられるかどうかを考える前に、もとのレシピがどの種類を指定しているかを確かめるほうが、変更点を整理できます。

粉末の姿が似ていても、原材料と用途が違えばレシピでの役割も変わります。無糖の粉末は茶の材料として、加糖ミックスは糖を含む材料として、まず指定の種類を合わせるところから始めます。

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あと1節を順に公開します。

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