お茶は、焙煎でもっとおもしろい。

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同じ「ほうじ茶」が、産地で別の物を指している

第10章・公開 2節/全4節

富士山を遠景に、茶畑の畝と、茎や茶葉を載せた二つの盆を組み合わせたイラスト。

加賀・富士・九州・狭山で、「ほうじ茶」という一語が指している物の違いを見ます。

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富士 ― 自治体がブランドにしたほうじ茶

「富士のほうじ茶」に、決まった焙じ方はありません。静岡県富士市は、茶農家や茶商によって茶葉の種類も焙煎方法も違うと案内しています。4軒の茶農家が立ち上げた「凛茶」の作り方も読みます。

富士山を遠景に、茶畑の畝と、茎や茶葉を載せた二つの盆を組み合わせたイラスト。

「富士のほうじ茶」という言葉の中に、一つだけの焙じ方が入っているわけではありません。富士市は、茶農家や茶商によって茶葉の種類や焙煎方法が異なり、多種多様なほうじ茶を楽しめると案内しています。

その一例として、富士山の麓の4軒の茶農家から生まれた「凛茶」を見てみます。地域全体の代表的な味を決めるのではなく、一つのブランドが原料を選び、火を通すまでの工夫をたどる読み物です。

富士のほうじ茶に、決まった焙じ方はあるのか

「富士のほうじ茶」という言葉に、一つの焙じ方は入っていません。静岡県富士市は、茶農家や茶商によって茶葉の種類や焙煎方法が異なり、多種多様なほうじ茶を楽しめると案内しています。産地を選ぶことと、商品を選ぶことは別の段階です。

先に結論から三つ。①同じ地域名がついた商品でも、原料と仕上げが同一とは限りません。②富士山の麓の4軒の茶農家が立ち上げた「凛茶」は、香りを引き出すため通常の選別を何度も繰り返し、厳選した茎を使うと説明しています。③焙煎は特殊な機械で遠赤外線を使い、均質な仕上がりのため少量ずつ時間をかけるとされています。

富士市が紹介する多様性は、使う茶葉や焙煎方法が茶農家・茶商ごとに違うことです。同じ地域名がついた商品を並べても、原料と仕上げが同一とは限りません。

産地を選ぶことと、商品を選ぶことは、続いているけれど別の段階です。「富士」に関心を持ったあとでつくり手の名前を読むと、次に何を比べるかが見えてきます。

4軒で始めた「凛茶」は、まず茎を選ぶ

ここで読むのは、静岡県富士市の案内と、日本茶茶茶が公開している「凛茶」の説明の二つです。富士市は地域の多様さを、日本茶茶茶は自社ブランドの作り方を書いています。一つのブランドの作り方は、地域全体の代表としては読めません。

日本茶茶茶は「凛茶」を、富士山の麓の4軒の茶農家が手を取り合って立ち上げたほうじ茶ブランドとして紹介しています。同社の説明では、香りを引き出すため、通常の選別作業を何度も繰り返し、厳選した茎を使います。

焙煎の紹介を読むと、つい機械や温度に目が向きます。ここでは火を入れる前の選別にも仕事が置かれています。焙じ方だけを覚えるより、何を選んで機械に入れるかまで読むと、原料と工程がつながります。

火の通し方と、一度に扱う量

同社は、特殊な機械を使い、遠赤外線で茎の芯までじっくり火を通すと説明しています。さらに、均質な仕上がりを目指し、少量ずつ時間をかけて焙煎するとのことです。

「遠赤外線」は火の通し方についての説明、「少量ずつ」は扱う量についての説明です。どちらか一つがブランドの製法をすべて表しているわけではありません。複数の選択を組み合わせて仕上げている、と読むことができます。

更新 2026年9月22日この節だけのページ

03無料会員限定

九州・狭山・静岡 ― 火入れの流儀が、土地で違う

八女・嬉野・鹿児島の三つのほうじ茶は、地域の味の順位ではなく商品ごとの選択です。浅野園は注文に合わせて少量ずつ焙じ、嬉野茶時の「焔」は約70℃で淹れ、坂之上製茶は茎だけを使います。

形の異なる三つの器に、茶葉や茎のサンプルを並べた俯瞰のイラスト。

八女、嬉野、鹿児島。三つの土地の店で見つかるほうじ茶を、地域ごとの味の順位としてではなく、商品ごとの選択として読んでみます。

注文に合わせて焙じること、緑茶に近い淹れ方を案内すること、茎だけを選ぶこと。それぞれのつくり手が詳しく伝えている部分に目を向けると、「九州のほうじ茶」という大きな括りの中にも、別々の入口が見えてきます。

九州のほうじ茶は何が違うのか。八女・嬉野・鹿児島の三袋

八女、嬉野、鹿児島の三つのほうじ茶は、地域ごとの味の順位ではなく、商品ごとの選択として読めます。焙じる量と届ける時機、緑茶に近い淹れ方、茎だけという原料の選択。三軒が詳しく伝えている部分は、それぞれ別の軸にあります。

三軒が詳しく書いている項目は、それぞれ別です。①八女のお茶の浅野園は、注文に合わせて少量ずつ、極力低温でじっくり焙煎し、ほうじ立てを送ると説明しています。②嬉野茶時が紹介する青ほうじ茶「焔-ほむら-」は、厳選した一番茶を使い、約70℃の湯で淹れる案内です。③鹿児島の坂之上製茶の高級ほうじ茶は、白折れ、あるいはかりがねと呼ばれる茎だけを自家焙煎し、葉を混ぜていません。

お茶の浅野園の自家焙煎特上ほうじ茶は、注文に合わせ、少量ずつ極力低温でじっくり焙煎する商品です。茶産地は国産、福岡県八女産と表示されています。同店は、ほうじ香だけでなく旨みもあると紹介しています。

少量ずつにする理由として書かれているのは、ほうじ立てを送るためです。ここでは、火の入れ方と出荷のタイミングがつながっています。焙煎の深浅だけでなく、注文から届くまでにどんな仕事があるかを知る例です。

嬉野では、淹れ方まで商品と一緒に読む

ここで並べるのは、お茶の浅野園、嬉野茶時、坂之上製茶の三社が自社サイトで公開している商品説明です。三社が詳しく書いているのは焙煎の量、淹れ方、原料の部位とそれぞれ別の項目なので、同じ物差しで並べた比較ではありません。

嬉野茶時の公式オンラインショップが紹介する「焔-ほむら-」は、田中製茶工場・田中宏さん作の青ほうじ茶です。厳選した一番茶を使い、約70℃の湯で淹れる案内があります。緑茶に近い淹れ方です。

同店が伝える味わいは、ひと口目の香ばしさに、緑茶の風味と甘みが重なるというものです。ほうじ茶という名前を見て、手持ちの別のほうじ茶と同じ手順にする前に、この商品の説明と淹れ方を読み合わせたいところです。

残りの三節では、坂之上製茶が使う茎(白折れ、かりがね)の確かめ方、店の所在地と茶の原産地を混ぜない読み方、三軒を地域の順位ではなく商品の選び方として比べる見方を読めます。

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更新 2026年9月22日この節だけのページ

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