「富士のほうじ茶」という言葉の中に、一つだけの焙じ方が入っているわけではありません。富士市は、茶農家や茶商によって茶葉の種類や焙煎方法が異なり、多種多様なほうじ茶を楽しめると案内しています。
その一例として、富士山の麓の4軒の茶農家から生まれた「凛茶」を見てみます。地域全体の代表的な味を決めるのではなく、一つのブランドが原料を選び、火を通すまでの工夫をたどる読み物です。
富士のほうじ茶に、決まった焙じ方はあるのか
「富士のほうじ茶」という言葉に、一つの焙じ方は入っていません。静岡県富士市は、茶農家や茶商によって茶葉の種類や焙煎方法が異なり、多種多様なほうじ茶を楽しめると案内しています。産地を選ぶことと、商品を選ぶことは別の段階です。
先に結論から三つ。①同じ地域名がついた商品でも、原料と仕上げが同一とは限りません。②富士山の麓の4軒の茶農家が立ち上げた「凛茶」は、香りを引き出すため通常の選別を何度も繰り返し、厳選した茎を使うと説明しています。③焙煎は特殊な機械で遠赤外線を使い、均質な仕上がりのため少量ずつ時間をかけるとされています。
富士市が紹介する多様性は、使う茶葉や焙煎方法が茶農家・茶商ごとに違うことです。同じ地域名がついた商品を並べても、原料と仕上げが同一とは限りません。
産地を選ぶことと、商品を選ぶことは、続いているけれど別の段階です。「富士」に関心を持ったあとでつくり手の名前を読むと、次に何を比べるかが見えてきます。
4軒で始めた「凛茶」は、まず茎を選ぶ
ここで読むのは、静岡県富士市の案内と、日本茶茶茶が公開している「凛茶」の説明の二つです。富士市は地域の多様さを、日本茶茶茶は自社ブランドの作り方を書いています。一つのブランドの作り方は、地域全体の代表としては読めません。
日本茶茶茶は「凛茶」を、富士山の麓の4軒の茶農家が手を取り合って立ち上げたほうじ茶ブランドとして紹介しています。同社の説明では、香りを引き出すため、通常の選別作業を何度も繰り返し、厳選した茎を使います。
焙煎の紹介を読むと、つい機械や温度に目が向きます。ここでは火を入れる前の選別にも仕事が置かれています。焙じ方だけを覚えるより、何を選んで機械に入れるかまで読むと、原料と工程がつながります。
火の通し方と、一度に扱う量
同社は、特殊な機械を使い、遠赤外線で茎の芯までじっくり火を通すと説明しています。さらに、均質な仕上がりを目指し、少量ずつ時間をかけて焙煎するとのことです。
「遠赤外線」は火の通し方についての説明、「少量ずつ」は扱う量についての説明です。どちらか一つがブランドの製法をすべて表しているわけではありません。複数の選択を組み合わせて仕上げている、と読むことができます。

