九州のほうじ茶を一言でまとめるのは難しいです。ここでは三つの店の公式説明をそのまま読んで、原料と焙煎について何が書かれているかを見ていきます。産地の優劣を決める記事ではありません。書かれていることと、書かれていないことを分けて読みます。産地でまとめず、一店ずつ見ていきます。
八女—注文に合わせ、少量ずつ低温で
お茶の浅野園は、自家焙煎特上ほうじ茶を「ご注文に合わせ少量ずつ極力低温でじっくり焙煎した」と説明しています。ほうじ香だけではなく旨みもある、こだわりのほうじ茶とも書かれています。商品表示の茶産地は、国産(福岡県八女産)とされています。使う部位については、このページには書かれていません。
同店は、ほうじ立てを送るため少量ずつしか焙煎していないとしています。まとめて作り置きせず、注文のたびに火を入れる。焙煎してから飲むまでの時間を短くする、という考え方が読み取れます。低温でじっくり、という言葉とも筋が通っています。作る量を絞る代わりに、鮮度を取る形です。
嬉野—緑茶に近い淹れ方の「青ほうじ茶」
嬉野茶時の公式オンラインショップは、「焔-ほむら-」を田中製茶工場・田中宏さん作の青ほうじ茶として紹介しています。使用する茶葉は厳選した一番茶で、湯温は約70℃、淹れ方は緑茶に近いとされています。ほうじ茶なのに、緑茶の淹れ方に寄っています。
味については、ひと口目にしっかり感じるほうじ茶特有の香ばしさと、じわじわと広がる緑茶の風味、甘みが織り成す新感覚の味わいと説明されています。これは一つの商品の説明です。嬉野のほうじ茶すべてがこの作り方だとは、どこにも書かれていません。一本の商品の話として置いておきます。
鹿児島—茎だけを自家焙煎する
坂之上製茶は、自家焙煎で茎のみを焙煎した高級ほうじ茶を扱っています。白折れ、あるいはかりがねと呼ばれる茎の部分だけを丁寧に仕上げた商品で、香ばしい香りとすっきりした後味が特徴と説明されています。葉を混ぜず、茎だけで一本にするという選択です。
同店の所在地は鹿児島市ですが、この商品ページには原料の産地が書かれていません。店の住所を茶葉の産地として読み替えないほうが安全です。三つの説明から言えるのは、使う部位と焙煎の考え方が店ごとに違う、ということまでです。そこから先は、飲んで確かめる話になります。
