台所の机に、八女、嬉野、鹿児島の店のほうじ茶が一袋ずつ並んでいます。どれも同じ茶色の葉に見えて、袋の裏の言葉はそれぞれちがいます。三つは、土地の味の順位ではなく、商品ごとの選び方なのです。

この文章では、焙じて届ける仕事、緑茶に近い淹れ方、茎だけという原料の順に、三つの袋を一つずつ開いていきます。

同じ物差しにのらない三袋

三つの袋の説明を読みくらべると、くわしく書かれている場所がばらばらです。三軒の言葉は、それぞれ別の軸にあるのです。

八女の店は焙じる量と届ける時機を、嬉野の店は淹れ方を、鹿児島の店は使う部位を、ていねいに書いています。どれも店が自分のサイトで公開している商品の説明です。並べても、一つの強弱にまとめることはできないのです。

資料で言えるのは、書かれた項目どうしを比べるところまでです。最初に開くのは、焙じたてを送る八女の袋でしょう。

八女の、焙じたてを送る袋

封を切ったばかりの袋から、香ばしい匂いがふわりと立ちます。お茶の浅野園のほうじ茶は、注文に合わせて焙じるお茶なのです。

店の説明では、注文を受けてから少しずつ、なるべく低い温度でじっくり焙じます。少しずつにするわけは、ほうじたてを送るためと書かれています。香りだけでなく旨みもある、と店は紹介しています。

火の入れ方と出荷の時機がつながっている例で、資料で言えるのはそこまでです。つぎは、湯の温度まで添えられた嬉野の袋でしょう。