お茶は、焙煎でもっとおもしろい。

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焙じる人は、何を見て火を止めるのか

第9章・公開 2節/全4節

濃く焙じた茶の茎と葉、別に置かれた炭の熾火を象徴的に描いた挿絵

焙じる人は、色・音・香り・時間のどれを見て火を止めるのか。つくり手に聞きます。

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京都の茶商 ― 強い火で、浅く焙じる

「強い火で焙じる」と「深煎り」は別の情報で、強火は加熱の操作、深煎りは仕上がりを指します。京都の舞妓の茶本舗は、同じかりがねを強い焙煎香の商品と、弱い火で浅く焙じた商品に仕上げています。

濃く焙じた茶の茎と葉、別に置かれた炭の熾火を象徴的に描いた挿絵

「強い火で焙じる」と「深煎りにする」は、似た意味に見えます。一方で、京都の舞妓の茶本舗には、かりがねを浅く焙じて、その香りを楽しむ商品もあります。火をどう入れるかと、どこを仕上がりとするか。二つを分けると、同じほうじ茶の中にある選択が見えてきます。

ほうじ茶の「強火」と「深煎り」は、同じ意味ではない

「強い火で焙じる」は加熱のしかたを、「深煎り」は焙煎の仕上がりを指す言葉です。二つは別の情報で、火の強さが書いてあっても、原料や加熱の進め方まで同じとは限りません。別々に受け取ると、商品説明の読み違いが減ります。

見分ける手がかりは三つです。①強火は操作、深煎りは仕上がり、かりがねは原料。袋の言葉はこの三つの層に分かれます。②京都の舞妓の茶本舗は、同じかりがねを、濃い色と強い焙煎香の商品と、弱い火で浅く焙じた商品の二つに仕上げています。③浅いものから深いものへ進むのが上達、という順番はありません。飲みたい方向から選べます。

「強い火」は加熱のしかたを、「深煎り」は焙煎の仕上がりを伝える言葉です。火の強さだけが書いてあっても、原料や加熱の進め方まで同じとは限りません。お茶を選ぶ際には、この二つを別々の情報として受け取ると読み違いが減ります。

矢野園は、ほうじ茶を強い火で焙じるお茶と説明し、特有の焙煎香を魅力に挙げています。同時に、高温で焙じるには高度な技術が必要とも伝えています。「強い火なら誰でも同じ香りになる」という話ではなく、その火を扱う判断まで含めた説明です。

同じかりがねを、京都の二つの茶商が違う方向へ

ここで読むのは、矢野園と舞妓の茶本舗が公開している商品説明です。二軒とも自社の商品について、火の強さと仕上がりの狙いを書いています。二軒の説明が、京都全体の焙じ方を代表するわけではありません。

舞妓の茶本舗の「かりがね」は、玉露や煎茶を作る際に選り分けられる茎茶のことです。同店の「ほうじ茶香り風味」は、かりがねをじっくりと焙じ、濃い色と強い焙煎香を出した商品として紹介されています。

一方の「浅炒りほうじ茶」は、香り風味より弱い火でゆっくり浅く焙じ、ほうじ茶の香りとかりがねの香りを楽しめるという説明です。どちらもかりがねを使いますが、原料由来の香りと焙煎の香りをどう感じてほしいかに違いがあります。

残りの三節では、焙煎で増える香りと減る香りを示した農研機構の研究、濃い色と好きな香りをいったん分ける飲み比べ、京都のお茶を一つの火加減にまとめない見方を読めます。

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ほうじ茶専門店 ― 焙じてから包むまで

火の茶房の説明では、仕事は焙煎で終わりません。少量ずつ焙じ、粗熱を取り、まだ温かいうちに専用袋へ密封する。日本茶茶茶・小林商店の説明と合わせて、工程ごとに読み分けます。

職人の両手が浅い盆の上で焙じた茶葉を広げているイラスト。

ほうじ茶の専門店を紹介するとき、「丁寧に焙煎している」だけでは、どんな仕事なのかが見えにくくなります。火の茶房、日本茶茶茶、小林商店の説明には、量、加熱、冷却、包装に関わる具体的な言葉があります。茶葉が商品になるまでを工程に分けて読んでみます。

ほうじ茶の専門店は何をしているのか。少量ずつ焙じ、冷まし、包むまで

専門店の説明を読むと、仕事は焙煎で終わっていません。火の茶房は、少量ずつ焙じ、焼き上がった茶葉の粗熱を取り、まだ温かいうちに気密性の高い袋へ入れて密封すると書いています。香りを作る工程と、その香りを届ける工程が続いています。

三軒の説明から読めるのは三つです。①日本茶茶茶の「凛茶」では、「少量ずつ」が茎の芯まで均質に火を通すための量の選択として説明されています。②火の茶房は、焼き上がりをすぐ冷蔵庫へ移して粗熱を取り、温かいうちに専用袋へ密封すると書いています。③小林商店は手炒りと伝えていますが、それだけで機械焙煎より優れていると決まるわけではありません。

火の茶房は、少量ずつ丁寧に焙煎すると説明しています。日本茶茶茶も「凛茶」を遠赤外線で少量ずつ焙煎すると紹介しています。共通するのは量の扱いですが、それだけでは二つの製法が同じとはわかりません。

凛茶の説明は、特殊な機械で茎の芯までじっくり火を通し、均質に仕上げるため少量ずつ時間をかける、というものです。「少量」を雰囲気のよい言葉で終わらせず、何を目指してその量にしているのかまで読むと、工程の意味が具体的になります。

焼き上がりの次に、冷却と包装がある

ここで比べるのは、火の茶房、日本茶茶茶、小林商店の三軒が公開している説明です。三軒が書いている工程は少量焙煎、冷却、包装、手炒りと部分的にしか重ならないので、説明のない工程を「行っていない」とは読めません。

火の茶房は、焼き上がった茶葉をすぐに冷蔵庫へ移して粗熱を取り、まだ温かいうちに気密性の高い専用袋へ入れ、密封すると説明しています。焙煎のあとにも、冷ます場所、包むタイミング、袋の選択が続いています。

茶葉を火から外した場面だけを見れば、仕事が終わったように思えるかもしれません。しかし商品の説明を順序に沿って読むと、「焙じる→粗熱を取る→密封する」までが一続きです。香りを作るだけでなく、袋を開ける人へ届けるところまで扱っています。

残りの三節では、小林商店の手炒りという原料への関わり方、三軒の説明を同じ工程順に並べ直す読み方、製造の説明と店舗の案内を分けて見る理由を読めます。

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