ほうじ茶の袋を開けると、葉が目立つものも、細い茎が目立つものもあります。同じ「ほうじ茶」という棚に並んでいても、焙じる前に選んでいる材料は同じではありません。
原料の違いを、商品の実例と研究の見方からたどります。茎と葉のどちらが上かを決めるよりも、何を比べているのかを見つける読み方です。
ほうじ茶の原料は葉か茎か。同じ棚の商品でも中身は違う
ほうじ茶の原料は一つではありません。葉を焙じたもの、茎を焙じたもの、葉と茎を合わせたものが、同じ「ほうじ茶」の棚に並びます。しかも農林水産省が紹介する加賀棒茶では、茎と葉が分かれるのは焙煎の前、荒茶を作ったあとの選別です。
押さえるのは三点です。①同じつくり手でも、商品ごとに葉と茎を使い分けています。②農林水産省が紹介する加賀棒茶では、茎は焙じてから分かれるのではなく、蒸し・揉み・乾燥で荒茶を作ったあとに選別されます。③石川県工業試験場の比較では、同じ条件で焙煎しても、茎と葉では香り成分の構成に違いが見られました。
丸八製茶場の「加賀ほうじ茶」は葉を、「献上加賀棒茶」は茎を使っています。つくり手が同じだから原料も同じ、というわけではありません。まず商品名を並べ、次にそれぞれの材料を確認すると、比較の出発点が変わります。
飲んだときに違いを感じても、それを焙煎の強弱だけの差とは決められません。材料を替えて作られた商品どうしだからです。「どのくらい焙じたか」の前に、「何を焙じたか」という問いがあります。
加賀棒茶では、茎は焙じる前に選び分けられる
以下で引くのは、丸八製茶場と丸久小山園の商品説明、農林水産省が紹介する加賀棒茶の製法、それに石川県工業試験場の共同研究と1999年の茶香気の報文です。研究は試料と条件をそろえた比較で、市販品では原料に加えて作り方も変わります。葉と茎のどちらが上かを決める資料ではありません。
農林水産省が紹介する加賀棒茶の製法では、蒸す、揉む、乾燥する工程で荒茶を作り、そこから茎の部分を選別して焙煎します。火を入れてから葉と茎が分かれるのではなく、原料を選び分けてから焙じる順番です。
原料に混じる茎を集めて使う工程です。棒茶を飲むとき、焙煎より手前にある選別までたどると、茎を使うという選択が具体的になります。


