茎の焙じ茶の説明には、たいてい香りの言葉が入っています。芳ばしい、すっきり、花のよう、甘い香り。裏を返すと、原材料の欄には「茶」とあるだけです。表は香りの言葉でいっぱいで、裏は一語で済んでいるのです。
この文章では、茎と浅い焙煎がなぜ結びつくのかを、香りの成分から見ていきます。
浅く止める、わけ
封を切ると、乾いた茎から、香ばしさの奥に花のような香りがのぞきます。その香りを残したいなら、浅く止めるのがよいのです。
花のような香りのもとは、糖と結びついた形で茶葉に入っています。焙じる熱でほどけて立ちのぼり、焙じ進めるほど割合を落としていきます。
どちらも、茎だけを焙じて確かめた試験ではありません。資料で言えるのは、浅く止めれば花の香りが残りやすい、というところまでです。茎だけの香りがあるのかは、つぎの話でしょう。
茎だけの香りは、見つかっていない
茎のお茶と葉のお茶を並べて嗅ぐと、香りの印象はずいぶんちがいます。けれど、茎だけにある香りの成分は見つかっていないのです。
市販の茎茶と煎茶から香りの成分を取り出すと、名前のわかった成分は両方でまったく同じでした。報告は、茎茶に特有の成分は見つからなかったと書いています。ちがっていたのは量の配分で、茎茶は花のような香りの成分が多めでした。
試料は、市販品を一点ずつ比べたものです。資料で言えるのは、ちがいは種類ではなく量にある、というところまでです。焙じたあとの量は、また別の報告にあります。
