ほうじ茶には、茎を使うものと葉を使うものがあります。同じように火を入れればいいのか、それとも扱いが違うのか。ここでは条件と成分を実際に測った二つの報告を読んで、書かれている範囲を確かめます。数字が出てきますが、どこまでが試験の中の話かを意識して読みます。そこが肝心です。
試験では、茎と葉で適した条件が違った
日本農芸化学会誌に載った試験では、茎が入る場合には強めの150°C・12分が、茶葉だけの場合には温度を下げて時間を短くしたマイルドな条件、130°C・10分が適していたと評価されています。温度も時間も、部位によって別に評価されたということです。同じ火でよい、とはしていません。
茎のほうが強めの条件で評価されている、という結果です。理由までは引用に書かれていないので、ここでは結果だけを受け取ります。同じ茶から取った材料でも、部位によって扱いが変わるという見方ができます。なぜそうなるのかは、この引用の外の話になります。結果だけを、そのまま持っておきます。
同じ条件で焙煎して、成分を比べる
石川県工業試験場は、同一条件で焙煎した茎と葉で香り成分に違いがないかを調べています。その結果、茎は葉よりも香ばしい成分が1.5倍、花の香りの成分が4倍多く含まれていることが明らかになったとしています。石川県立大学と丸八製茶場との共同研究として紹介されています。条件をそろえて比べているので、部位そのものの差として読める報告です。数字も明確です。
花の香りとして例に挙げられているのは、バラやラベンダーなどです。茎のほうじ茶に甘い香りを感じることがあるのは、こうした成分の差と関係しているのかもしれません。ただし、そこは引用に書かれていません。感じたことと測った値を結びつけるのは、次の課題です。ここでは報告の範囲にとどめます。
推奨値ではなく、試験の条件
気をつけたいのは、150°Cや130°Cという数字が、あらゆる機械と原料で使える推奨値ではないことです。その試験の装置と試料での評価です。家庭の道具や別の焙煎機に、そのまま持ち込める数字ではありません。装置が変われば、適した条件も変わると考えておきます。数字は持ち出さないほうが安全です。
倍数も同じです。茎茶ならどの商品でも葉茶より一定倍の香りがする、とは言えません。成分の量の差は、人が感じる強さの差やおいしさの優劣とも別のものです。読める範囲は、この二つの試験の中までです。部位で違いが出る、という見方を持ち帰るくらいがちょうどいいです。それで十分役に立ちます。
