浅煎り、中煎り、深煎り。ほうじ茶の棚でもよく見る言葉です。ただ、どこからが深いのかは、はっきり書かれていないことが多いです。ここでは説明を公開している二つの出典を読んで、何が違うとされているかを確かめます。言葉の裏に何が置かれているのかを、先に確かめておきます。棚の前で迷う回数が減ります。

茶商の説明では、浅と深はこう分かれる

流芳園は、浅煎りほうじ茶を、緑茶の旨味を活かすことで、その旨味をともなった上品な香ばしい香りになると説明しています。深煎りほうじ茶については、強くローストすることで、ほのかな甘みが漂う香ばしさが特徴になるとしています。旨味という言葉が浅煎りの側に置かれているのが特徴です。強くローストするかどうかが軸です。

どちらの説明にも香ばしさという言葉が入っています。浅いか深いかで香ばしさの有無が分かれるのではなく、どんな香ばしさになるかが分かれる、という書き方です。旨味が前に出るか、甘みが漂うか、という違いです。どんな香ばしさなのか、という一段細かい見方になります。だから両方に香ばしさが出てきます。

中煎りを含む、三段階の商品例

丸安茶業は、焙煎度をそろえたパウダーの案内で三段階を説明しています。浅煎りは棒ほうじ茶、つまり茎の部分を使い、芳ばしい香りと自然な甘味、渋みの少ないさわやかな味わいが特徴とされています。焙煎度を商品名でそろえた、比べやすい並びになっています。原料の欄も一緒に読めます。

中煎りは茎の部分と葉の部分を合わせ、コクと旨味、甘味のバランスが取れた味わいとされています。深煎りは茶葉を二度焙煎することであえて焦がし、ショコラのような香り、重めのボディ、まろやかさが特徴だと説明されています。三段階それぞれに、違う言葉が割り当てられています。二度焙煎という工程まで書かれています。

ここで気づくのは、焙煎度だけでなく原料の構成も違うことです。浅煎りは茎、中煎りは茎と葉、深煎りは茶葉。火の入れ方と原料が同時に変わっているので、焙煎度だけを変えた比較実験ではありません。焙煎度の違いだけを見ているわけではない、ということです。比べるときは、そこも数えます。

境界の温度と時間は、書かれていない

二つの出典を読んでも、浅煎り・中煎り・深煎りを分ける全国共通の温度や時間は出てきません。それぞれの会社が、自社の商品をどう仕上げたかを説明しているだけです。言葉が同じでも、中身が同じとは限りません。共通の物差しは、まだ用意されていないと考えるのが安全です。言葉は目安でしかありません。

だから棚で浅煎りと書かれていても、別の店の浅煎りと同じ味とは考えないほうがいいです。中煎りに必ず茎と葉を混ぜるとも言えません。言葉を手がかりにして、原料と説明の書き方まで見る。そこまでやると、選びやすくなります。手がかりは言葉の外側にあります。そこまで読むと、選ぶ精度がすこし上がります。