袋の口を開けると、乾いた香ばしさがふわりと出てきます。急須に湯を注ぐと、湯気はもう少し甘い匂いです。同じ茶葉なのに、口をついて出る言葉はそのたびに変わるのです。

この文章では、香りに効いている成分を、葉、湯気、湯のみの中の順にたどります。

香ばしい、甘い、グリーン

湯のみを両手で包むと、湯気が鼻先をかすめます。香りを決める成分は一つではなく、束ねる言葉が三つあるのです。

香ばしい、甘い、グリーン。研究の言葉でも、匂いはこの三つにまとめられています。このうち香ばしさと甘さは、火が作ったものです。

どれか一つを主役と決める資料はなく、言えるのは三つの束に分けられるところまでです。つぎは、葉と湯気と湯の中で測った話でしょう。

乾いた葉と、立ちのぼる湯気

乾いた葉に鼻を寄せると、香ばしさが鼻の奥まで届きます。測る場所を変えると、上に立つ成分の顔ぶれまで変わるのです。

香りのもとを薄めていき、どこまで嗅ぎ取れるかで成分を並べる測り方があります。葉そのものでは、いちばん上の段に、香ばしい成分と甘い成分が並びました。湯気と、葉を除いた湯の中でも、同じように測られています。

湯気で上の段に立った成分は一つだけで、湯の中ではもっと多く並びました。資料で言えるのは、同じ茶でも場所で顔ぶれが変わるところまでです。そのわけは、水と湯気と鼻にあるのでしょう。