袋の表に「砂炒り」とあり、隣の袋には「遠赤外線」とあります。どちらで焙じたお茶かと比べたくなりますが、二つは必ずしも別の方式ではないのです。温めた石の遠赤外線を使う砂炒りも、あるからです。
この文章では、名前を三つの層にほどき、温めた石、回る胴、吹き上げる風の順に、機械の仕事を見ていきます。
三つの層の、ことば
焙じ場の機械は、低くうなりながら回っています。砂炒り、直火、遠赤外線は、同じ層の言葉ではないのです。
料理では、フライパンの形と、火を出す道具を別々に考えます。焙煎機の説明にも、原料を入れる胴の形、熱を届ける方法、火との接し方が混ざっています。回転ドラムは胴とその動き、遠赤外線は熱の届け方、直火は火との接し方を指す言葉です。だから三つから一つを選ぶ関係にはならず、両方を使う機械もあるのです。
名前だけでは、味は決まりません。資料で言えるのは、言葉をほどく手がかりまでです。層のつぎは、温めた石から熱を渡す砂炒りでしょう。
温めた石の、やわらかな熱
焙じ場の釜の中で、温めた石がかすかに鳴っています。砂炒りは、石を介して熱を届ける方法なのです。
ある茶舗は砂炒りを、温めた石の遠赤外線を使う古くからの方法と紹介しています。目指すのは、むらなく火を入れ、焦がさずに甘みを出すことです。別の茶舗は、合組みした茶にさらに高い温度で火を入れる工程で、砂炒りの機械と赤外線の火入れ機を使い分けています。一つの店が一つの方式だけを使うとは、かぎらないのです。
引いた説明は、どれも作り手が自分で公開しているものです。温度や時間の数値はそろっておらず、同じ方式名でも仕上がりは店ごとにちがいます。資料で言えるのは、ここまでです。石のつぎは、回る胴の中でしょう。
