ほうじ茶の焙煎には、いくつかの方式があります。ここではメーカーと茶商が自社サイトで公開している説明を並べます。どれが優れているかを決める記事ではありません。何をどう加熱すると書かれているか、それだけを読みます。読み終えたころには、方式の名前に振り回されなくなります。そこが目的です。
砂炒り—熱した石の遠赤外線で
茶舗ふりゅうは、砂炒り製法を、熱した石の遠赤外線効果で焙じる昔ながらの製法だと説明しています。手間がかかる分、均一に火が通り、焦げがなく甘みのあるほうじ茶に仕上がるとしています。石を熱してから、その熱で焙じるという順番になっています。手間がかかるとも書かれています。
矢野園は、ほうじ茶に仕上げるには合組みのあとの緑茶をさらに高温で焙煎する工程が入るとし、自社では砂炒り焙煎機と赤外線火入機を使い分けて火入れを行うと説明しています。方式を選べる、という書き方です。一つの方式に決めず、原料や仕上げで持ち替えていると読めます。選べること自体が設計です。
回転ドラムと、赤外線
山益の遠赤外線回転火入機は、回転ドラムの内部に設けられたブラストバーナーによって近赤外線と遠赤外線を放射して加熱すると説明されています。遠赤外線の効果により臭みや苦味を取り除く、ともされています。熱の伝え方を、赤外線という言葉で説明している例です。装置の形のほうは回転ドラムです。
丸菱は、回転ドラム焙煎で均一に火入れし、茶葉の香りや風味を損なうことがないとしています。原料に適したドラムの回転速度と温度調整ができ、主にほうじ茶を煎じるのに用いると説明しています。回転させて動かすことで、火の当たり方をそろえるという考え方です。調整の幅も示されています。
直火と、熱風
美濃加茂茶舗は、ある商品について、一年間低温貯蔵した茶葉を直火でじっくりと深煎りで焙煎すると説明しています。貯蔵の期間まで書かれているので、焙煎の前の工程も含めた設計が読み取れます。焙煎の前に一年置くという時間の使い方が書かれています。前工程まで含めた設計です。
丸菱の熱風焙煎は、温めた風で吹き上げながら焙煎するため均一焙煎が可能で、これにより品質の安定性と量産化が可能になったとされています。ただし掲載されている実績原料は、はと麦や黒豆などの穀物類です。ほうじ茶での採用例は、この引用からは確認できませんでした。穀物の実績と分けて読みます。
方式名は、同じ軸の分類ではない
並べてみると、回転ドラムは装置の形、遠赤外線は熱の伝え方、直火は火の当て方を指していることが分かります。同じ一つの軸で並ぶ言葉ではないので、回転ドラムか遠赤外線かという二択にはなりません。名前が指している層が違うので、そのまま並べて選ぶことはできません。整理して読みます。
各社の香味の評価も、自社の説明です。砂炒りなら絶対に焦げない、遠赤外線なら必ず高品質になる、という比較試験の結果ではありません。熱風だけでほうじ茶を作る例も、今回の引用では確認できませんでした。優劣ではなく、何をどう加熱しているかだけを持ち帰るのが、ちょうどいいところです。
