棒茶というと、深く焙じた濃い茶を思い浮かべるかもしれません。ところが加賀棒茶で知られる丸八製茶場の説明を読むと、浅い焙煎という選択が出てきます。ここでは同社が公開している商品の説明を読みます。深いか浅いかは、思い込みで決まっていないところが面白いところです。順に読みます。
浅い焙煎という方法
丸八製茶場は、原料を浅く焙煎する新しい方法で、芳ばしい香りとすっきりした飲みやすさを出すことに成功したと説明しています。深く焙じて濃くするのではなく、浅く止めて軽さを出すという方向です。濃くする方向ではなく、軽さを出す方向へ向かった、という説明になっています。新しい方法という言葉も入っています。
献上加賀棒茶の製造には、遠赤外線セラミックバーナーが使われていると書かれています。そして焙煎師が、日々変わる原料のコンディションに合わせて焙じていくとされています。条件を固定せず、原料に合わせる作り方です。条件を決め打ちにしない、というところが読みどころです。原料が毎日変わる前提で書かれています。
同じ会社の、深い焙煎
同社は「ほうじたて」という焙じ茶も紹介しています。こちらは一番摘みだけでなく、二番摘みのチャの茎もブレンドされた焙じ茶だとされています。原料の構成が、献上加賀棒茶とは違います。摘みの時期が違う茎が混ざっている、という説明です。原料が違えば、仕上げの狙いも変わります。
説明では、一番摘みの茎を浅く焙じあげた献上加賀棒茶に比べ、深い焙煎の香りや穏やかな味わいが楽しめるとされています。同じ会社のなかに、浅いものと深いものが並んでいるということです。浅いか深いかは、会社単位ではなく商品ごとの選択だと分かります。並べて読むと見えてきます。
一社の商品説明という範囲
ここで読めるのは、丸八製茶場の商品説明です。加賀棒茶の全商品、全メーカーが浅煎りだとは言えません。他社と同じ条件で比べた評価でもないので、浅煎りのほうが優れている、という読み方もできません。一社の説明の外側には、まだ確かめていない範囲が広がっています。そこは空けておきます。
香りの表現から、焙煎の温度や時間、官能評価の数値を推測するのもやめておきます。分かるのは、浅く焙じるという選択があり、同じ会社がその隣に深い焙煎の商品も置いている、ということまでです。選択があるという事実だけでも、棚の見え方は変わります。あとは飲んで確かめる話です。
