夜、湯のみを前にして、これは飲んでも大丈夫な時間だろうか、と手が止まります。翌朝には紙コップのラテを買い、同じものが家で作れないかと考えます。台所の奥から古い煎茶が出てくれば、焙じられないか、と思います。

入口に置かれている三つ

ほうじ茶の入口に置かれているのは、だいたいこの三つです。答えは第1章と第2章ですが、どこを見れば決まる話なのかだけ、先に書きます。

カフェインは、条件の話だった

カフェインは、条件の話でした。農林水産省の一覧は、茶種ごとに浸出条件が違います(表 序-2-1)。玉露は浸出液100mLあたり160mgで、ほうじ茶の20mgの8倍です。ただし玉露の条件は茶葉10gに湯60mLで、湯100mLあたりに直すと16.7g、ほうじ茶の2.31gの7倍を超えます。茶葉1gあたりで並べ直すと、8倍の差は約1.1倍まで縮みます〔計算値〕。条件をそろえ直すのが第1章です。

表 序-2-1茶種別のカフェイン量と浸出条件

茶種カフェイン(浸出液100mLあたりmg)浸出条件(茶葉・湯温・湯量・時間)湯100mLあたりの茶葉量(計算値)
玉露160茶葉10g・60℃・60mL・2.5分16.7g
せん茶20茶葉10g・90℃・430mL・1分2.33g
ほうじ茶20茶葉15g・90℃・650mL・0.5分2.31g
玄米茶10茶葉15g・90℃・650mL・0.5分2.31g
農林水産省「カフェインについて」より作表。値の出典は日本食品標準成分表2020年版(八訂)で、ページの最終更新は令和8年8月28日。湯100mLあたりの茶葉量は公表されている浸出条件からの計算値で、同ページに書かれた数字ではありません。⚠️ この4行は同一条件ではありません。浸出条件が同じなのはほうじ茶と玄米茶だけなので、条件の列を落とすと表そのものが誤りになります。

ラテは、比率の話だった

ラテは、比率の話でした。京都のKurasuが公開しているレシピは、ほうじ茶パウダーを砂糖と湯で溶いてシロップにし、温めた牛乳と合わせます。分量が重さで出ているので、何がどれだけ入った一杯かが読めます。店と家の一杯が似ないのは、腕の差ではありません。何を変えれば近づくかは、第2章で扱います。

家で焙じることは、少し込み入っている

家で焙じることは、少し込み入っています。高知県農業技術センター茶業試験場の報告のうち、カフェインを測った翌年の表(2014年)では、浅炒でほとんど減らず、深炒でようやく6〜13%減りました。家庭の焙烙やフライパンでの焙煎を扱った査読論文も、集めた範囲では見つかっていません。第4章は、条件を決めて測るところから始めます。