夕方、紙コップの最後のひと口を飲み終えて、同じものを家で作ってみようと思います。ほうじ茶を濃いめに淹れ、温めた牛乳を注ぎ、砂糖をひとさじ。湯気は似ています。色も、近い。ところが飲むと、さっきの一杯とは別のものが口に入ってきます。甘さを足しても、牛乳を増やしても、近づいている感じがしません。茶葉が違うのだろうかと袋を裏返し、次はもっと濃く出そうと決めて、その日はおしまいになります。

違うのは、比率と温度と泡の3つ

違うのは、比率と温度と泡の3つです。茶葉の良し悪しでも、淹れる腕でもありません。しかも出発点は、思っているほど離れていません。公開されているレシピを並べると、店の側も家庭向けの側も、多くは粉末を湯で溶いて濃い液を作り、それを牛乳で割っています。違っているのは、その中の3つの数字と扱いだけです。

公開されているレシピは、重さの8割以上が牛乳

京都の Kurasu が公開しているレシピは、その組み立てがそのまま読めます。ほうじ茶パウダー2.5g、砂糖5g、湯20g。比率にすると1対2対8で、完全に溶かしてシロップにします。できたシロップ27.5gに、温めた牛乳150gを合わせて1杯。重さで見ると、出来上がりの8割以上を牛乳が占めます(この割合は公開されている重量からの計算値で、同ページに書かれた数字ではありません)。

家庭向けに公開されているレシピにも、同じ組み立てがあります。伊藤園のほうじ茶ラテは、粉末の商品を大さじ1、湯30ccで溶いて、牛乳140ccを合わせる手順です。牛乳はここでも8割ほど。粉末の作られ方と選び方は、合組を扱う第11章で扱いますが、比率の話をするかぎり、店のレシピと家庭向けのレシピは同じ側です。

茶葉から淹れる作り方では、牛乳は2割

茶葉から淹れる作り方も公開されています。丸八製茶場の棒茶ラテは、献上加賀棒茶18gに熱湯320mLを注いで2分30秒、そこに牛乳80mLと砂糖10gを合わせて2人分。1杯にすると200mLで、そのうち牛乳は40mL、割合にして2割です。Kurasu の8割超と並べると、同じ呼び名のもとで4倍の開きがあります。茶を主役に置いた、もう一つの作り方です。

残る2つは、温度と泡

残る2つは、温度と泡です。伊藤園の手順には、手鍋に牛乳を入れ、泡立て器でかき混ぜながら沸騰直前まで温める、と書かれています。Kurasu は温めた牛乳を合わせるとだけ書き、温度の数字を出していません。同じ「温めた牛乳」でも、どこまで温め、かき混ぜたかどうかで、口に入る前の状態は変わります。2つとも「牛乳の比率を、先に決める」の節で扱います。

チェーンの一杯も、茶葉だけではない

チェーンの一杯も、茶葉だけでは組み立てられていません。スターバックス コーヒー ジャパンが2024年6月12日から定番にした『ほうじ茶 & クラシックティー ラテ』は、2種の茶葉にホワイトチョコレート風味のシロップとフレッシュクリームを合わせたもので、名前のとおり、ほうじ茶と紅茶を合わせた一杯です。2026年9月の時点でも、公式メニューのページに載っています。