袋の裏を上から読んでいくと、名称、原材料、内容量、賞味期限と来て、焙じた温度はどこにも出てきません。数字があるのは、業界の文書のほうでした。「緑茶の表示基準」の別紙には、⑦と⑱という離れた二つの行に「焙じ140℃以上」と「火入れ70〜130℃」があります。序章で紹介したその行のせいで、140℃が境目に見えます。

境目は、どこにあるのか

温度の上には引けません。この別紙は茶種の定義ではなく、表示の責任者を区分する例示欄で、装置も測った場所も書かれていないからです。1974年の公的な試験は150℃の加熱を「火入れ」と呼び、1999年の研究は130℃・10分でほうじ茶を作っています。

時間、目的、評価のうち、線になるもの

三つのうち、いちばん差が見えやすいのは時間です。実験室の焙煎は秒で数え、火入れは分から時間で数えます。ただし1999年の研究や業界団体の解説には10分を超える焙煎もあり(「180℃、200℃、220℃で確かめられたこと」の節の表 5-4-1)、時間だけで線は引けません。残る目的と評価は段階が違うので直接は比べられませんが、その「段階が違う」こと自体が線でした。火入れが当たるのは、まだ仕上がっていない荒茶。焙じる火が当たるのは、火入れを済ませた煎茶や番茶です。同じ火の香りが、前の段階では引かれ、後の段階では売られています。袋の言葉は、その火を「浅煎り」「深煎り」で書きます。共通の基準があるかは、次の章で見ます。