香ばしいものが飲みたい日は、色の濃い袋に手が伸びます。深煎りと書いてあれば、その先に強い香りが待っている気がします。実際、焙じ始めたばかりの茶葉より、少し進んだころのほうが部屋の匂いは強い。だから「深いほど香ばしい」は、台所の実感にも合っています。

焙煎を深くするほど、香ばしさは増えていくのか

高知県の試験の範囲では、増えませんでした。第2章で見たとおり、この試験で焙煎香の指標として測られたピラジン2種は、一番茶と刈番茶では深炒よりも浅炒のほうが多く出ていました(二番茶では焙煎の程度による差がありません)。香ばしさを決めているのは深さだけではなく、どの温度で、どこまで焙じたかの組み合わせです。

深く焙じると、焙煎温度の違いは成分の上で見えなくなる

見ているのは、石川県の2020年の実験で、茎を180℃・200℃・220℃で、浅いところから深いところまで焙じ分けた試料の成分の並びです。