ほうじ茶ラテに向くのは、浅煎りか深煎りか。ここでは茶商が公開している提案を読みます。試験の結果ではなく、味づくりの提案です。配合や手順そのものは、既存のラテの記事にゆずります。どちらが正しいかではなく、何を根拠に勧めているのかを見ていきます。提案の形で読みます。

牛乳に負けにくい香り

FAR EAST TEA COMPANYは、ミルクを合わせる飲み方では、香りが前に出る茶葉ほど輪郭が残ると説明しています。そのうえで、まず勧めるのは深煎りのほうじ茶だとしています。香りの輪郭という言い方が、この提案の軸になっています。牛乳と並べたときの話です。

理由として挙げられているのは、炒った穀物やナッツのような香りが牛乳に負けにくく、ラテ向きだということです。香りの強さではなく、牛乳と並べたときに残るかどうかで選ぶという考え方です。炒った穀物やナッツという言葉が、香りの方向を具体的にしています。指標ではなく感じ方です。

同じ配合で、茶を替える

丸八製茶場の棒茶ラテの公式レシピには、茶を替える提案が添えられています。「献上加賀棒茶」を同じ量の「深炒り焙茶BOTTO!」にすると、より奥行きのある味わいになるとされています。レシピ本体ではなく、そこに添えられた一行に注目しておきます。量は同じままです。

分量を変えずに、焙煎度だけを替える。家で試すなら、これが分かりやすい比べ方です。同じ配合で二杯作れば、違いが焙煎度から来ていることがはっきりします。手順そのものは公式のレシピを見てください。変えるところを一つに絞ると、違いの原因がはっきりします。実験のやり方と同じ考え方です。

味の提案として読む

どちらも茶商の説明です。深煎りだけがラテに使える、深煎りが万人にとって最もおいしい、という結論にはなりません。官能の表現を、独立した比較試験の結果として扱うのも避けておきます。提案は提案として、位置を決めて受け取っておきます。試験の結果とは別の種類の情報です。

浅煎りのラテが成り立たないとも書かれていません。牛乳の量を減らせば、浅煎りの旨味も残るかもしれない。そこは自分で試す領分です。提案を出発点にして、好みの位置を探すのが楽しいところです。自分の一杯の基準は、結局、自分で置くしかありません。そこが面白いところでもあります。