ほうじ茶の棚を見慣れていると、紅茶を焙じたお茶の名前は少し意外に映ります。けれど国内には、紅茶を焙煎した商品を出している茶園があります。もとの紅茶と、火を入れたあとでは、甘みや香りの説明が変わります。

夏摘みの紅茶を、焙じてみる

兵庫県神河町の株式会社仙霊は、300年つづく茶畑を継承した「お茶のスタートアップ」です。商品のひとつに「焙煎紅茶」があり、夏摘みの紅茶を焙じたお茶だと書かれています。

味は「コクのある甘み、焙煎の香りが心地よく」と説明され、後口は「仙霊の紅茶らしいくどくない爽やかな、すっきりした印象」と続きます。水出しでも甘く飲めるお茶だとも書かれています。

焙煎の前と後で、味わいが変わる

静岡の牧之原山本園は、べにふうきの夏摘みを焙煎した「ほうじ香り紅茶」を出しています。強焙煎により甘い香りを発揚させ、フルーティーな紅茶に仕上げたという説明です。

焙煎の前はすっきりした飲み口で、火を入れたあとは重厚でしっとりした味わいになり、その香味はももやぶどうのような甘い果実香にも感じられる、とあります。二つの茶園は、どちらも夏に摘んだ茶葉を焙じています。

ほうじ茶と、出発点が違う

紅茶づくりでも、最後に熱は通ります。茶ノ実鶴園の説明では、乾燥の工程で100℃前後の高温熱風を当てて酸化酵素の活性を止め、水分含有率が約60%だった茶葉を3〜5%まで乾かします。焙煎紅茶は、そうして仕上がった紅茶にもう一度火を入れたお茶です。

ほうじ茶も、仕上がった煎茶や番茶、茎茶などを強火で炒ったお茶だと伊藤園は説明しています。違うのは出発点の茶葉で、緑茶は酸化を止めた葉、紅茶は酸化発酵を進めた葉から作られます。同じように焙じても、もとの味が違えば、仕上がりも変わります。